水溶性食物繊維の一種である「デキストリン」と「イヌリン」の違い
健康食材として注目を集める菊芋に含まれる成分にイヌリンがあります。イヌリンは血糖値を下げ、糖尿病予防に期待できると話題の成分ですが、実はそんなイヌリンとよく似た成分に難消化性デキストリンという成分があるのをご存知ですか? この2つの成分は、水溶性食物繊維の1種で本当によく似ています。似ているがために、消費者目線からすると、どっちがいいのかと疑問に思ってしまいませんか? よく似ているからこそ、違いを知ることで、場合によって使い分けができるようになります。そこで、難消化性デキストリンとイヌリンの違いについてご紹介していきます。記事を参考に、違いを学んでいきましょう。
難消化性デキストリンとイヌリンの違いとは
ここでは、「難消化性デキストリン」と「イヌリン」に関して、味・溶け方・主な用途などの観点から解説していきます。それぞれの違いを知って、今後の参考にしてみてください。
難消化性デキストリンとは?
難消化性デキストリンは、でんぷんから作られる成分で水溶性食物繊維の一種です。とうもろこし由来のでんぷんから作られ、作用としては、血糖の上昇を抑制・整腸作用・中性脂肪の上昇抑制・内臓脂肪の低減作用・ミネラルの吸収促進作用があり、安全性に定評があります。また、難消化性デキストリンは糖の吸収を抑える働きを持っているため、糖質制限中に摂取することで良い影響を与える可能性があります。
【味】味はしません。
【溶け方】水またはお湯に溶けます。
【用途】無味無臭でどのような料理や飲み物にも適しているとされています。
イヌリンとは?
イヌリンは、菊芋やゴボウに含まれている水溶性食物繊維です。血糖値の上昇を抑える作用に加え、ビフィズス菌を増やすことで血糖値を下げるインスリンを活性化してくれるというダブルの効果があり、糖尿病予防にもすすめられています。その他にもメタボの防止やダイエットに効果的だといわれ、中性脂肪の蓄積・塩分吸収の抑制が期待できるため、イヌリンは数多くの健康食品や加工食品に含まれています。
【味】無味に近いですがほんのりと甘い味がします。
【溶け方】お湯が適しています。水だと溶けにくいとされているため、イヌリンを溶かしたいときには、お湯で溶かすと良いでしょう。
【用途】甘いので、糖分ゼロの甘味料として使われることもあります。ケーキやクッキーなどのお菓子を作る際の使用や、野菜ジュース・グリーンスムージを作る際に甘味料として取り入れるのもおすすめです。
目的別の難消化性デキストリンとイヌリンの使い分け
難消化性デキストリンとイヌリンに違いはあるものの似た効果が多く、どういう時に使用するのが適しているのかの判断は難しいですよね。そこで、それぞれの観点で、デキストリンとイヌリンのどちらがよく利用されるかをご説明していきます。
血糖値を改善したい場合にはイヌリン
難消化性デキストリンもイヌリンも水溶性食物繊維の仲間なので、食物繊維の特性上、消化・吸収されず、腸の中で長時間滞留します。食事で摂った糖分は腸で吸収されるため、腸に食物繊維が滞留していることで糖分の吸収の邪魔になり、吸収をゆるやかにしてくれるのです。
イヌリンの場合は、さらにその後フラクトオリゴ糖に変化し、ビフィズス菌等のエサになることで、ビフィズス菌を増やしてくれることが報告されています。ビフィズス菌には、インスリンを活性化させる働きがあるため、インスリンが活性化されることで、余分な糖分を外に運んでくれるというわけです。
便秘解消にもイヌリンの方が期待できる
イヌリン、難消化性デキストリンとも整腸効果が期待できます。ただ、イヌリンの場合、腸内で分解されフラクトオリゴ糖になります。腸内環境をよくする善玉菌のエサとなり、善玉菌の働きを助けます。ただし、体内で消化できない食物繊維をたくさん摂りすぎると浸透圧性の下痢になる可能性があるので摂りすぎには注意しましょう。
トクホとして認められているのは難消化性デキストリン
難消化性デキストリンは、日本国内外でも安全性が認められており、ほかの栄養素の邪魔をしないといわれています。特定保健用食品(トクホ)の関与成分になっていますし、米国のFDA(食品医薬品局)は、1日の摂取量の上限値を明確に定める必要がないくらい安全な食品素材であると認めています。また、難消化性デキストリンの安全性を調べた試験でも、血圧などの生理学的検査値は変化せず、消化器症状にも問題は見られませんでした。その他の試験でも難消化性デキストリン摂取が原因となる変化は見られず、安全であると報告されています。
「難消化性デキストリン」と「イヌリン」の違いについてご紹介しましたがいかがでしたか? 両者とも効果はよく似ていましたが、簡単におさらいすると、血糖値を改善や便秘改善にはイヌリンがおすすめです。今回知った情報をぜひ役立ててみてくださいね。