それぞれどんな特徴がある? イヌリンとオリゴ糖の違いとは
便秘や腸内環境の改善に悩みに役立つ成分として、オリゴ糖があげられます。オリゴ糖は整腸作用があり、特定保健用食品にも許可されるなど効果が期待できる成分です。実はイヌリンも同じように腸内環境の改善に働くといわれています。そうなると、イヌリンとオリゴ糖でどうように異なるのか、どのような時に利用すればよいのか迷ってしまいませんか? 違いをはっきりと理解すれば、迷うこともなくなります。ここでは、イヌリンとオリゴ糖の違いとそれぞれの特長についてご説明していきます。
イヌリンとオリゴ糖の違いについて
まずは、イヌリンとオリゴ糖がどのような性質を持っていて、どのような違いがあるのかをチェックしていきましょう。よく似た性質がありますが、全く同じではありません。ここでは、イヌリンとオリゴ糖の違いについてご紹介していきます。
イヌリンの特長
イヌリンは水溶性の食物繊維で、今話題の健康成分として注目を集めています。その血糖値改善効果から、天然のインスリンと呼ばれています。また、イヌリンは体内で分解する酵素がありません。腸内でフラクトオリゴ糖に変化し、善玉菌のエサとなって、腸内環境の改善のサポートを行います。フラクトオリゴ糖は、特定保健用食品(トクホ)に認定されているオリゴ糖です。また、イヌリンを多く含む菊芋は、低カロリーの食材で、ほのかな甘さがあるため糖質制限や、ダイエットにも最適な食材といわれています。それだけでなく、デトックス効果、腸内環境の改善、美肌効果、塩分吸収の抑制、中性脂肪蓄積の抑制など多岐にわたります。
オリゴ糖の特長
オリゴ糖は20種類ほどがあることが知られており、大きく難消化性オリゴ糖と消化性オリゴ糖に分けられています。中でも難消化性オリゴ糖は、有名なものが数種類あります。難消化性オリゴ糖は人体では分解することができず、そのまま腸まで届くという性質があります。お腹の調子を整える効果として、特定保健用食品にされています。オリゴ糖は善玉菌のエサとなって善玉菌を活性化させます。オリゴ糖の種類によっても若干期待できる効果が異なりますが、便秘の改善、免疫力の向上、生活習慣病予防、虫歯予防、大腸がんや直腸がんの予防などが期待できます。また、カロリーは砂糖の約半分程度ですが、甘みがあるので代用が利きます。
分子の大きさから見られる差
イヌリンに見られる水溶性食物繊維やオリゴ糖は、難消化性の糖質とされ、小腸では吸収されずに大腸に届けられるという点では変わりません。違いは、分子の大きさです。オリゴ糖は少糖類ともいい、単糖が2~10分子結合しています。単糖が3分子以上結合している場合、難消化性オリゴ糖と呼ばれ、特長として、消化されない、砂糖の代用ができる、腸内細菌を増やすなどがあげられます。一方水溶性食物繊維は、分子量が多くて構造が複雑といわれています。オリゴ糖が善玉菌のエサになりやすく、大腸まで届きにくいのに対し、水溶性食物繊維は大腸の奥まで届き、善玉菌をサポートします。
イヌリンとオリゴ糖の使い分けについて
イヌリンとオリゴ糖の両方に似た特長があると理解できたところで、どのように使い分ければよいのか疑問が残りますよね。実際に日々の生活に取り入れるためにも、使い分けを知っておいて損はありません。ここでは、イヌリンとオリゴ糖の使い分けについて、どのようなケースでどちらがよく利用されるか、それぞれの観点からご説明していきます。
ダイエットならイヌリン
イヌリンはフラクトオリゴ糖となって排便を促し、腸内環境を整える働きがあるだけでなく、余分な糖分、塩分、脂肪分の吸収をブロックしてくれます。イヌリンは、消化酵素で分解されず、また低カロリーであるためダイエットにも最適です。
血糖値抑制ならイヌリン
イヌリン自体が血糖値の上昇に影響を与えることはありません。体内で分解されず、ゲル状となって余分な糖質やコレステロール、塩分などを包み込んでゆっくりと腸まで移動していきます。その結果、急激な血糖値の上昇を防ぐことができ、膵臓への負担も少なくなります。
腸内環境改善ならイヌリンやフラクトオリゴ糖
水溶性食物繊維であるイヌリンは、善玉菌のエサとなり、腸内の有害物質を排出しやすくします。その結果、お腹の調子を整え、便秘や腸内環境の改善が見込めます。またイヌリンは腸内でフラクトオリゴ糖に変化することから、フラクトオリゴ糖にも同じことがいえます。ただ分子の大きさの違いから、腸に届くまでの時間は、フラクトオリゴ糖の方が短時間で済みます。他にも、ビフィズス菌の増加を促すガラクトオリゴ糖や、腸の働きを活発にする大豆オリゴ糖にも注目しましょう。
イヌリンとオリゴ糖の違いとそれぞれの特徴についてご紹介しました。両者ともに体に好影響な成分でしたが、いかがでしたか? 中でもイヌリンの分解されずに腸まで届く性質と体内でフラクトオリゴ糖に変化し、腸内環境の改善に働く点を忘れてはいけません。つまり、イヌリンはオリゴ糖でもあるということなのです。両者の特長をうまく利用し、日々の生活に取り入れていってください。参考になればうれしく思います。